SNSやライブ会場でじわじわと話題になっている「直缶(ちょっかん・ちょくかん)」。
これは、お酒の缶の下方側面に穴を開けて一気に飲み干す「ショットガン飲み(略して”ショット”)」とも呼ばれるスタイルで、特にオタク文化の中で広まりを見せている独特なお酒の飲み方です。
ライブ前にテンションを上げる気合い入れとして仲間と直缶する人、SNSでのパフォーマンスとして披露する人、さらには推し活の一環として楽しむ人もおり、その盛り上がりは加速中です。
しかし、一歩間違えればケガやトラブルにつながるリスクも潜んでいます。
この記事では、「直缶とは何か?」という基本から、やり方・開け方・必要な道具・オタク文化との関係性・注意点に至るまでを徹底的に解説します。
直缶(ショットガン飲み・ショット)とは?
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直缶の意味と語源
「直缶(ちょっかん/ちょくかん)」とは、缶の下方側面に穴を開けて一気に中身を飲み干す、アメリカ発祥の飲み方「ショットガン飲み(Shotgun drinking)」を日本流にアレンジした呼び方です。
最近では、「直缶」「ショットガン飲み」という発音しにくい言葉ではなく、「ショットガン飲み」を略して単に「ショット」と呼ばれることが増えています。
この飲み方は、缶の底寄りに小さな穴を開けて口をつけ、その状態で上部のプルタブを開けることで重力と内圧によって中身が勢いよく流れ出すのが特徴です。一気にアルコールを摂取するため、スピード感とインパクトを伴う“パフォーマンス飲み”として若者の間で人気を集めています。
もともとはアメリカの大学生文化におけるパーティー遊びの一種として定着していましたが、日本ではオタク界隈やサブカル文化の中で独自の進化を遂げ、「直缶」として知られるようになりました。SNSやライブイベントをきっかけに徐々に拡散され、今や多くの人に知られる存在となっています。
どんな場面で使われるのか?
直缶は、ただの飲み方ではなく、“気合い入れ”や“ノリ”を楽しむ文化的な演出として用いられることが多く、以下のようなシーンでよく見られます。
- ライブ前・ライブ後の気合い入れ
推しの現場前にテンションを上げるために「直缶するぞ!」と仲間と推し曲のイントロや落ちサビに合わせて一気飲みする習慣があります。 - 仲間内の飲み会・オフ会でのパフォーマンス
特に“陽キャ”よりも、サブカル志向やオタク寄りの文化の中で、「ネタ」として直缶を披露する場面が増えています。 - SNS(TikTok・X・YouTube)での動画投稿
パフォーマンスとしての“映え”を意識した投稿も多数。#直缶 などのタグでバズることもあり、拡散力のあるコンテンツとして活用されています。
直缶は、ただ酔うための手段ではなく、コミュニケーションや自己表現の一部としての役割も担っているのが特徴です。
オタク文化と直缶の関係

なぜオタク界隈で直缶が流行っているのか?
「直缶」は、もともとアメリカの学生文化に由来する“ショットガン飲み”というスタイルを、日本のサブカルチャーが独自に取り込んで発展させたものです。
特にオタク界隈では、この行為が単なる飲酒を超えて「ライブ前の気合い入れ」「推しに捧げる儀式」「自己表現の手段」として機能するようになりました。
- 推しのライブやイベント直前に「行くぞ!」「やるしかねえ!」と仲間と直缶して士気を上げる
- 「陽キャ的なノリ」ではなく、サブカル的な儀式感がある点が逆に刺さる
こうした文化的背景から、「陽キャの一気飲み文化」とは別ルートで、オタクの中で直缶が自然と根付いてきたのです。
直缶は、単なる飲酒スタイルというより、オタク文化とサブカル感覚が融合した一種の“行動様式”として、独自の広がりを見せています。
直缶のやり方と開け方

直缶に必要な道具
直缶を成功させるには、飲み物の選び方から道具、そして後片付けまで一通りの準備が重要です。ここでは、現場でよく使われている具体的な道具やアイテムを紹介します。
■ 最適な缶の種類(ビール・チューハイ・その他)
直缶に最もよく使われるのは、炭酸の入っていない「お茶割り」や「ジャスミンハイ(通称『JJ』)」などです。これらのお酒は、炭酸の噴出リスクが無く、飲むときの刺激も少なく飲みやすいことから初心者向けの王道スタイルとされています。
一方で、「酒の強さをアピールしたい」「映える動画を撮りたい」といった目的で、ストロングゼロや-196℃などの強炭酸チューハイを選ぶ人も少なくありません。ただし、炭酸が強すぎると噴き出してしまったり、飲む難易度が高くなります。そのため、割り箸を缶に突っ込んでかき混ぜ、炭酸をある程度抜いてから直缶するのが通例です。
また一部では、テキーラやチャミスルなどを瓶ごと飲み干す“変化球系直缶”も見られます。これは儀式的・パフォーマンス的な意味合いが強く、SNS投稿やライブ前の演出として盛り上がるシーンが中心です。
■ 穴を開けるための道具
- 鍵(家の鍵や車のキー)
- コイン(100円玉など)
- Amazonや楽天で購入可能な「缶専用ピアサー」などの便利グッズ
■ 後片付けに使えるアイテム
- ウェットティッシュ・ペーパータオル(手や缶の清掃に)
- ゴミ袋(空き缶や拭いた紙類の回収用;コンビニでお酒を買う時に一緒に貰っておくべき)
「直缶をやったら掃除までがセット」です。周囲への配慮は、文化としての継続・定着にもつながります。
直缶の正しいやり方
直缶は見た目こそ豪快ですが、正しいやり方を知らないと缶が吹き出したり、うまく飲めなかったりと失敗のリスクも高いです。以下の手順を守ることで、初心者でも安全に直缶を楽しむことができます。
ステップ1:プルタブの位置を確認する
まず、缶の上部にあるプルタブの向きを確認し、“上”にくるように構えます。穴を開ける場所の目安にもなるので、飲む前に缶の上下と向きを整えるのが基本です。
ステップ2:缶の下方側面に穴を開ける
缶の底から約1 cm上あたり、プルタブとは反対側の位置に鍵やコイン、ピアサーなどを使って穴を開けます。穴のサイズは飲み口として使えるくらいの大きさ(1~1.5 cm四方程度)が理想です。
※中・上級者になると、指や歯で穴を開ける人もいますが、ケガや破損のリスクが高いため非推奨です。
ステップ3:口をつけてプルタブを開ける
缶に開けた穴に口をしっかり当てた状態で、上部のプルタブを引き上げます。すると、内圧と重力の影響で中身が一気に流れ込むので、勢いよく飲みましょう。
こぼれないコツや練習方法
慣れないうちは、飲み口からこぼれたり、炭酸でむせてしまうこともあります。以下のテクニックを意識すると失敗を防げます。
- 屋外で練習
こぼれても問題のない場所(公園、ベランダ)で実践するのが安心 - 缶をやや斜めに持つ
口元にスムーズに流れ込みやすくなる - 全部飲み干さなくてOK
慣れないうちは誤飲性肺炎や嘔吐などのリスクがあるため、無理に飲み干そうとせず、途中で止めるのもアリ
直缶の危険性と注意点

直缶は見た目のインパクトや盛り上がりから人気が高まっていますが、一方で健康面やマナー面でのリスクが潜んでいます。ここでは、直缶に関わる主な危険と注意すべきポイントを解説します。
ケガ・アルコール中毒などのリスク
■ 缶の切り口による口内出血
直缶では、缶に自ら穴を開けるため、アルミの切断面が鋭くなることがあります。そのまま勢いよく口を当てて飲むと、唇や舌、歯茎を切る事故が発生します。
とくに力を入れて無理に穴を開けた場合、切り口がギザギザになるため危険度が増します。安全な道具を使い、穴のバリ(出っ張り)を潰してから飲むことが重要です。
■ 急性アルコール中毒の危険
直缶は一気飲みを前提としたスタイルであるため、体内に短時間で多量のアルコールが入ることになります。自分の許容量を超えれば、急性アルコール中毒を引き起こすリスクが極めて高くなります。
実際、度を超えた直缶により急性アルコール中毒となり、救急車のお世話になり世間に多大な迷惑を掛けている人が多くいます。
アルコールに弱い人や体調が悪い時は、無理せず量を調整したり、炭酸を抜く・薄めるなどの工夫を取り入れることが必要です。
公共の場でのマナーと法的注意点
■ 路上飲酒禁止エリア
一部の都市(例:東京都渋谷区など)では、条例で路上飲酒が明確に禁止されているエリア・時間帯があります。違反すれば注意や指導を受けるだけでなく、最悪の場合は警察に通報されるケースもあります。
■ 店舗前での迷惑行為
コンビニやライブハウスの前などで直缶を行い、騒音・飲み残し・ごみのポイ捨てが発生すると、店舗側に大きな迷惑がかかります。イベント主催者にも悪影響を与えかねません。お酒を飲むのは楽しいですが、周りへの配慮を忘れないようにしましょう。
■ 未成年飲酒・飲酒強要は犯罪
未成年の飲酒、または誰かに直缶を強要するような行為は法律で禁止されている行為です。SNSでのノリや現場の空気に流されず、法律と常識を守ることが前提です。
安全に楽しむためのポイント
直缶を安全かつ楽しく取り入れるには、以下のような配慮が不可欠です。
- 私有地や屋内で行う
公共スペースではなく、許可された場所やプライベート空間で実施することで、周囲への迷惑やトラブルを防げます。 - 飲酒年齢を守る(20歳以上)
成人していない人に飲ませることは違法行為。飲む側も提供する側も法律を順守する責任があります。 - 周囲の環境と人に配慮する
音やごみ、においなど、思った以上に周囲への影響がある行為です。片付けまでを含めて“直缶文化”として行動しましょう。
まとめ:直缶の楽しみ方とルール・安全の順守

直缶(ショットガン飲み・ショット)は、ただの飲み方を超えて、自己表現や仲間との一体感を生み出すカルチャー的な楽しみ方へと進化しています。特にオタク界隈では、ライブ前の気合入れやSNSでの映え演出として定着しつつあり、「自分らしさ」を演出するスタイルの一つになっています。
しかし一方で、直缶は危険やトラブルと隣り合わせであることも忘れてはいけません。
路上飲酒禁止エリアの存在
東京都・大阪市などの一部エリア・時間帯では、条例での路上飲酒が禁止されています。いくら個人の楽しみとはいえ、公共の場での飲酒行為は地域によって制限されていることを理解し、事前に調べることが大切です。
店舗前での迷惑行為(騒音・ごみ)
直缶後にその場で騒いだり、缶をそのまま放置したりといった行動は、店舗や施設への迷惑行為にあたります。飲食店やコンビニの前での直缶は、トラブルの原因になりやすく、イベント参加者全体の印象にも影響を与えるため控えましょう。
ごみのポイ捨てや飲み残しによるトラブル
飲み終わった缶や拭いたティッシュなどのゴミを放置する行為は、最も悪目立ちするNG行動のひとつです。公共の場でのポイ捨てはマナー違反であるだけでなく、清掃業者や通行人にまで迷惑をかけることになります。
持ち歩き用のゴミ袋やウェットティッシュを用意して、「来た時よりキレイに」を意識しましょう。
飲酒マナーと公共マナーの両立が重要
直缶は確かに楽しい文化です。しかしそれを長く続け、より多くの人と共有するためには、ルールを守る姿勢が必要不可欠です。
- 飲酒は20歳以上
- 無理に一気を強要しない
- 周囲の環境と人に配慮する
- ゴミは持ち帰る
これらを守ることで、直缶は単なる「悪ノリ」ではなく、カルチャーとして胸を張れるスタイルになります。
“楽しい直缶”は、“正しい直缶”から。
自分にも周りにも優しい行動を意識して、推し活もオタ活も、最高に盛り上がる一杯を楽しみましょう!